ヤマカガシの血清の話

政府のさまざまな形の干渉は、本来なら行われるはずの研究開発が進まないという事態も作り出す。

ヤマカガシの血清は、1980年代に科研費(科学研究費補助金)によって作られたものであるという。科研費は大学に所属する研究者などが依存している政府の科学研究予算の配分の一つ。審査は文部科学省の外郭団体である日本学術振興会が行い、研究者らは毎年申請書類を書き、獲得競争を行っている。

一部の研究者は、科研費のような当たりはずれのある予算ではなく、もっと直接的に国がヤマカガシの血清の開発に関与し、予算を割り当てるべきだったと主張する。 続きを読む ヤマカガシの血清の話

科研費って必要ですか?

国立大学が国立行政法人化して20年近い期間が経とうとしている。

大学の中にいる人はしばしば訴える、「産学共同研究」ばかりではなく、基礎研究が大切である。これは、至極もっともな話である。大学という教育研究機関では、当然に頭脳が集積する。確かに、そこで行うべき研究は、大学でなくてもできる近視眼的なシゴトではないはずである。また、科学に限らず、あらゆる学問の歴史を振り返れば、基礎研究をおろそかにして長期的な発達があったとは思えない。

一方、無理な話でもある。一部の研究者はいう、いわゆる「競争的資金」ではなく、裁量で使える予算配分がもっと欲しいと。だが、国家が税という形で強制的に集めた有限なリソースを配分するとき、その研究とあの事業が比較されないなんてことが当然だろうか?それは、余裕のある人が資金を提供する場合なら許されるかもしれない。けれども、余裕のない人から奪うことまでは許されるだろうか? 続きを読む 科研費って必要ですか?

お客様は神様ですか?日本でサービスが買い叩かれてしまう理由

多くの人が気づいていることだが、頼む側・買う側が、「安い料金で良いものが来る」ことに慣れ切ってしまってる。「安かろう悪かろう」「良いものは対価がかかる」という感覚が、社会からどんどん失われていく。

本来、事業者なら買い叩く客はターゲットから外す、で良い。単に、顧客リストから削除してしまい、相手にしないことにすればよいのである。だが、この国では、国家がそれを邪魔している。 続きを読む お客様は神様ですか?日本でサービスが買い叩かれてしまう理由

公営保育園の拡充を要求する経団連と連合

公営保育園の拡充を求める政治的な声が強まった。その大きな流れを作ったのは、反アベでも家庭の母親の叫びでもなく、経団連と連合だった。人々のエネルギーは政治的に都合よく利用されただけだ。 続きを読む 公営保育園の拡充を要求する経団連と連合

「愛されやすい人柄」を演じなければならない社会

「愛されやすい人柄」というのは特殊スキルであり才能であり、それを持ってると色んな人が助けてくれるので生きていきやすい。だから、それを持ってない人でも公平に助けるのが公的扶助の役目だ。こういう主張をする人がいた。

これ、間違いだ。弱者は公的な救済に頼れという政治家や役人が大好きな言い回しには、多数決に認められるほど可哀想な人になって、政党の票田になるほど集団化して、政府の強制力の傘の下に入りなさいという論理が隠れている。 続きを読む 「愛されやすい人柄」を演じなければならない社会

1961年に描かれた「10年後の國民生活」

池田隼人政権下で実施された所得倍増計画のプロパガンダの一例として、1961年に経済企画庁の役人らが編纂して発刊された「10年後の國民生活」(國民生活硏究会 東洋經濟新報社)をあげる。

「倍増計画達成の際において国民生活のあるであろう姿を、具体的、写実的に」書いたという触れ込みだった。この中で、国民年金や老人福祉の発達は下ように描かれる。当時はベストセラーになるほどだったという。 続きを読む 1961年に描かれた「10年後の國民生活」

マイノリティを排除する政府と、マイノリティを発見する自由市場

自由市場が少数弱者を無視するという主張は、政府のプロパガンダに過ぎなくて、市場に少数弱者を放置させるバイアスをかけているのは政府に他ならない。

「政府によって歪められた市場で少数弱者が無視される」のであって自由市場で少数弱者が無視されるというのは全くの錯誤だ。 続きを読む マイノリティを排除する政府と、マイノリティを発見する自由市場

政府認定マイノリティの問題

航空会社の乗客と障害を持った客のトラブルが報じられた。

本来なら、航空会社と客の間にどういう契約があって、債務不履行の有無に問題が限定されるべきだ。だが、そこから外に問題が広がった。その時点で、事情は大きく変わった。

航空会社は、事前連絡を企業側が求めているにも関わらず、そのことを利用者も知っていて意図的に無視した。その契約内容について、市場の枠を超えて「社会」が当事者の取引に干渉しようとした。

続きを読む 政府認定マイノリティの問題

差別する自由が必要な理由

このようにいう人がいる。

『「表現の自由」というのは、弱い者が強い者に立ち向かう時に保障されるものです。そして、自由には責任が伴います。自由とは、好き勝手放題していいということではありません。』

続きを読む 差別する自由が必要な理由