難民支援と難民生産の関係

同盟国Aが同盟国Bに武器を売る。同盟国Bが民族Pを迫害して、民族Pは隣国Cに流出する。もうひとつの平和主義な同盟国Dが隣国Cを難民支援する。Bは民族Qの自国移入を無制限に認めていて、Bからの民族Pの人口流出と民族Qの人口流入は同程度である。 悪いのはA~Dのうち、どれだ?

民族Qが暴力で民族Pを追い払って、土地を得る。AもBもCもDも、そのための道具に過ぎない。国家は奪い合いの道具である。

パレスチナ難民問題

ユダヤ人の国であると憲法で宣言するイスラエルは、国外からやってくるユダヤ人に対して次々と国籍を認め、ユダヤ人を今も受け入れ続けている。それと同じだけ、トコロテンのようにパレスチナ人難民を生産し、隣国に押し出している。

jordanヨルダンとイスラエルの人口変化を見てみよう。ヨルダンの人口は2013年の人口統計で646万人、東京都の人口のおよそ半分だ。人口増加率は年率2.2%で着実に増えている。1960年に84.4万人いた人口は8倍近くに増えた勘定になる。これは、異常な出来事だ。

ヨルダンは14歳以下の若年層が国民全体の35パーセントを占めており、全人口の約3分の2をパレスチナ系住民が占め、そのうち国連登録難民だけで200万人を越える。人口構成も異常である。図は、ヨルダンの人口増加とイスラエルの人口を比較したものだ。両者は同じように上昇している。ヨルダンへ難民が流出すれば流出しただけ、それと同じだけイスラエルへのユダヤ人入植が進んでいるのである。

イスラエルの隣国ヨルダンはすでに、人口の過半数が難民である。形式的には、国連はパレスチナ人難民の帰還権を認めている。だが、本当にパレスチナ人難民がイスラエルへと帰国したならば、パレスチナ人はイスラエルの人口の過半数を占めることになる。民主的な選挙が実現するならば、イスラエルが自ら憲法で謳っているような「ユダヤ人国家」でありつづけることはできない。

無責任にヨルダンに経済支援を行うことが、難民を作り出すことに加担する構造になっている。

イスラエルを黙認する「国際社会」

イスラエルが難民を作り出しているのは、過去の出来事ではなく現在進行の出来事である。

冷戦で失われた軍需を底上げし、スエズ運河の重要性を維持し、石油価格に対する操縦自由度を確保する、といった大国の政府の利害調整のためにねじれた枠組みが作られた。

負担者は各国の納税者や、紛争地域の人々であり、受益者は関連する分野の企業、あるいはその顧客たちである。これらの関係は各国の政府によって結びついている。

イスラエルは、数年に一度、武力によってパレスチナ人を攻撃し、自発的に国外へ逃亡する同機を作っている。欧米はイスラエルへと武器を供給している。日本政府も、西欧とイスラエルの推し進める流れに与する側に立っており、難民支援やインフラ整備、医療支援などの「人道支援」を役割分担としてきた。国連は、難民の帰還権を設定しているにもかかわらず、イスラエルに対して難民への弁済や帰還のための工程作りを命じるのではなく、難民を支援を世界に訴えるという態度をとることでこの仕組みに対して権威付けする役割を果たしている。時折イスラエルの武力行使を小さな声で非難するが、実効的だったことはない。

「人道的な行い」をしているという欺瞞によって、難民支援は肯定される。だが現実には、難民支援は難民を作り出す構造の一部だ。もし、誰も難民を支援しないのならば、難民を生産した人々がその責任を負わなければならない。行使した軍事力に見合った報復を受けたくなければ、誠実に賠償しなければならない。いままでに積み上げたツケを見える形で支払わなければならないだろう。その責任を、混乱を生み出した人々が負うことになれば、戦争をすることはできないはずだ。

破綻している仕組み

イスラム国紛争における日本人人質事件の際、不自然にヨルダンが持ち上げられたことを思いだそう。政府はここぞとばかりにヨルダンへと税を還流する仕組み作りに奔走した。平時において難民製造の構造批判をせず、テロリストが登場すると喜び勇んで、その枠組みのために金を回すのである。

パレスチナ人難民が過半数であるヨルダンに対し、イスラム国が大打撃を与えたら、どういうことになるだろう。イスラエルはこれまで行った全ての残虐な犯罪行為を、有耶無耶にするためにそれを利用するだろう。

現在の国際的な利害構造の枠組みの中では、パレスチナ人問題の出口戦略が存在しない。ヨルダンもその土地の持つ有限の生産力の上に成り立っている。人口を八倍にも膨らませたヨルダンは、もはや国外からの支援なしでは自力で生存することができない。国家の作り出した他の仕組みと同様に、すでに破たんしているのである。

 

 

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