大企業にとっての雇用規制の効果

電通のような大手企業が、過労死するほどの状況でも人材を補充していかないのはなぜだろうか?

手厚い雇用保護の結果、人材が向こうからやってくる大企業にとっては、新卒採用で余計に人材を囲い込み、適合しない人材が勝手に辞めていくにまかせるのが効率がよくなる。というか、法的に解雇も減給も雇用主側からはできないから、従業員がしがみつく限りそうするしかない。

どこもかしこもそうするから、転職しようにもポストが少ないという状況がある。だから、労働者は仮にうまく順応できなくても新卒で採用された企業にしがみつく。結局、政府の雇用規制によって職業選択の自由が奪われてしまっているのである。

新卒採用でうまく就職し、最初の就職先に企業に居場所を見つけた労働者にとって、雇用規制は都合がよく見えるかもしれない。だが、そこに適合しなかった人にとっては悲惨である。まず新卒採用で採用されなければ、一気にキャリア形成の可能性が減る。そして、たまたま就職した会社に適合できなければ、辞めるまで追い詰められ、辞めて転職しようとしても、そこではやはり足元を見られることになる。

耐えきれずに転職しようとする人が転職しようとしても、転職を受け入れる企業だって、それほど良い条件を提示しなくてもやってきてくれると知っている。だから当然、待遇は割り引かれていく。

もちろん明らかに有能な人にはお金を積むだろうけれど、そうでない人は堕ちても堕ちてもこきつかわれがちになるだろう、先に雇用された人を制度が保護するのが雇用規制の本質なのだからまったく仕方のない話だ。

人材が向こうからやってくる大きな会社にとって、とくに人海戦術で大量生産していた時代には、優位に働いていた。零細企業よりもはるかに易しく必要と思われる人材を囲い込むことができたからだ。だが事情が変化して人材に求める条件が複雑になれば、規制のコストは割の合わないほど大きなものになっていく。

結局、強い雇用規制の悪影響は、弱者から始まり、強者へと広がる。連鎖的に労働市場全体に及び、生産性の低下と賃金水準の低下の両方をもたらすことになる。

課税や規制といった締め付けによって、弱い労働者の取り分は増えない

低賃金誘導政策

最低賃金法に苦しめられる弱者

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