累進課税が固定する格差

海外の電機メーカーが高い賃金を提示して日本人技術者を引き抜こうとしていると話題になると、有能な人間を雇いたかったら高賃金を提示しろという人が沢山いる。もちろん正しい。だが、有能な人を雇いたかったら高い報酬を提示しろという人が、高い報酬の人に沢山課税しろというのは、おかしくないだろうか?

高い報酬の人を雇えば沢山政府にピンハネされるのであれば、安い人材を雇ってやる事業だらけになるとしても、当たり前のことだろう。

高い賃金の会社員への課税を増やしても、低賃金労働者には無関係だと言う人もいる。だが、海外から声がかかるような業種では手取りを減らしたら引き抜かれるから、雇用主としては、安い人材の給料を減らして昇給することで調整する。高い報酬の人を顧客としてる事業者も、売り上げが減れば従業員の賃金を減らして調整する。

そればかりではない。日本では高賃金のソロプレイヤーに仕事をさせることが税金のせいで効率が悪い。そもそも税制上、そういう雇用形態で事業を行うなら別の国でやったほうが合理的なのである。

日本の大企業に出資する人は、日本の企業だけに投資しなければならないわけではない。そもそも、日本で高賃金のプロフェッショナルを雇わないできない事業をする企業に投資するメリットが少ないのだから、そんな会社はそもそも生まれにくいし、生まれたとしても資金調達コストが高くなるから国外の企業に太刀打ちできずに淘汰されていく。

日本の大企業が人海戦術だらけになりがちで、てっぺんの細いピラミッド構造の組織だらけになるのは当然だ。とくに、技術開発のように必ずしも土地のインフラや資源に依存しない事業であれば猶更、日本に事業拠点を置く価値が薄くなる。

大量生産によって工業生産がなされていた時代であれば、それでもよかったかもしれない。だが、時代が変われば事情が変わる。

ある程度能力があるなら、安い人材を沢山使う立場の仕事をするか、国に守られた利権の中で仕事をするか、あるいは日本国外の仕事をするのが合理的だ。実際、学歴競争の上位の人が目指すのはそのどれかを選びがちだろう。それ以外の人は、賃金の安い側に固定されることになる。

累進課税は格差を深刻に固定するし、実際に負担するのは立場の弱い人である。こればかりは、「高い報酬の人に沢山課税しろ」という社会ではまったく仕方のない話なのではないだろうか?

 

課税や規制といった締め付けによって、弱い労働者の取り分は増えない

日本の自営業者の数、減りすぎ。

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