雇用規制によって生じる、無駄な学歴競争

日本人はなんでみんな揃って学歴を求めるのだろうか?

学びたいから学ぶのである、いや、本当にそうならよい。けれども、実際にそうだろうか?大学に行かなきゃいけないから行く、そんな思い込みがないか?いや、それは本当に思い込みだろうか?

実際に大学に行かないと損する社会があるのではないか?

実は、無駄な学歴競争は個人の願望ではなく政府の規制によって生じたものではないだろうか。

就職するために進学する社会

「就職するために進学しなければならない」、だから大学を税負担化せよ。そういう議論がある。

だが、もしそのような制度が実現すれば、大学に進学しない生き方を選択することは今よりもさらに難しくなるだろう。大学の税負担化は、大学に進学する者を優遇し、そうでない生き方をする者に負担させる制度であるからだ。

ところで、今でも大学に進学しない生き方を選択することは困難を伴うと多くの人に信じられている。大学に進学して、形だけ在籍して遊びほうけるとしても、大学に進学しないより進学した方が得だと考える人もいるほどである。

そしてそれは、ある観点からは全く正しい。馬鹿げたことに、大学に進学することによって生じる評価の違いが、そこで得られる教育の効果以上に大きいのが実際だからだ。なぜこのような歪んだ現実が生じるのだろうか?

それは、一方では人々が単に学歴を価値あるものと思い込んでいるからだけではない。政府による雇用規制のコストが、現実に人々の生き方の選択肢を奪っているからである。

雇用規制によって生じる学歴のシグナリング効果

政府の雇用規制によって解雇が難しくなったり、待遇変更が許されなくなるっている。

強い雇用規制の下で、事業者が生涯雇う可能性があるのであれば、数億円の生涯賃金を結果的に保証する話になる。

採用する側からすれば、マズイ労働者を引き当ててしまった場合に、取り返しのつかない損害が生じてしまうことになる。事業者は、採用のために十分な情報を得る機会がない。雇用してから教育するとしてもうまくいくとはかぎらないし、後からダメだと分かって解雇しようにも容易には解雇できない。

とくに新卒採用において、必要な情報が欠如する中では学歴というパラメータから能力を測ろうとするシグナリング効果が生まれる。学歴を積んだ者を雇うのが確実さが高いと信じるのは、測定可能な情報が乏しいからである。採用される側に、アピールする実績を得る手段がない。

さらに、雇用されて経験を積むという選択肢が失われてしまう。採用されないと職業経験を積むことができないし、多くの人にとって採用されるためには学歴を積むというのが限定された手段だ。だから、新卒採用の機会を逸すると、就職の選択肢は強く制限されることになる。

雇用規制によって生じる、無駄な学歴競争

学校の勉強についていくことが不得意な者や、学歴を積む以外の生き方を選ぶ者にとっては、こうして生じる歪んだ競争は深刻な不利益となる。自分に合わない生き方に何年も付き合わなければならないし、付き合っても得る物が少ないのだから苦しいばかりだ。

大学や専門学校に行って、卒業証書を受け取ることが、就職のための切符のように働いてしまうことの影響は大きい。解雇規制や就業規則の不利益変更の原則禁止は、事業者が経営の自由度を損なう原因になるだけでなく、転職を望む労働者や、就職を望む失業者や学生からも、自由を奪う。憲法が約束するはずの職業選択の自由、あるいは幸福追求の権利が、根本的なところで失われてしまっているのである。

自由の喪失の影響は、無駄な学歴競争やブラック企業の増加といった形でも、私たちの目の前に、実際に現れている。政府による規制は、一方で労働者同士の競争を制限する。だが、競争がなくなることはない。もっと狭い条件の中での競争を強いられる。

政府の雇用規制による自由の喪失によって、事業者も、労働者も、大きなコストを強制的に負担させられるのである。

解雇規制によって制限された生き方

解雇規制や就業規則の不利益変更は、すでに雇われている労働者の既得権となっている。強い雇用規制の下では、一生同じ職場に居続ける者が最も保護される。

他方で、これから就職しようとする人や、すでに雇われているが転職したいという人にとっては、有害な規制となる。新卒採用でどんな企業に採用されるかが極端に重要になり、その機会を逸すると、もはや選択肢が失われてしまうのである。

悪影響を正面から受け止めることになるのは、学校に行くよりも、就職して職業経験を得るという選択肢を失う若者たちだろう。少なくとも賃金を得ながら職業経験を積む機会があったはずの者たちが、借金をしてでも授業料を払って学歴を積まなければならなくなるほどなのは、現実である。

最低賃金制度による過酷労働の強制

 

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