インフレ税の仕組み

「インフレ税」という言葉があります。

端的に言えば、「政府による人工的なインフレは、政府が強制的に国民の財産を収奪するという点で、税金と同じである」という話です。

政府が通貨を刷ることで私たちは貧しくなる。

現在、多くの国が採用している法定通貨は、金などの現物資産によって裏付けられていません。そのため、政府はいくらでも紙幣を増刷することができます。

であれば、私たちの政府はいくらでも国民にサービスを提供することができるかもしれません。

……たしかに、そんな勘違いをする人もいます。でも、もちろんそんな魔法みたいなことは起こりません。それどころか、政府が紙幣を増やしてしまうと、そこで暮らす人々の生活はどんどん苦しくなってしまいます。

それは何故でしょうか?

私たちは、お金ではなく手に入るモノやサービスで豊かになる

ここで、一つ大切な前提を思い出しましょう。

私たちは、お金を食べて生きているわけではありません。私たちがほしいのは、お金ではなく、最終的に手に入るモノやサービスなのです。

お金が沢山手にはいても、それで買えるものがごく僅かになってしまえば、決して豊かにはならないのです。

お金が増えると貧しくなる

お金が増えると貧しくなる

……と言われると不思議な気分になるかもしれません。私たちは普段、お金が増えると豊かになりますから。

でも、あなたのお財布の中にあるお金がそのままで、市中に出回るお金が増えた場合には、あなたは豊かになるでしょうか?

市中に出回るお金が増えると、お金の価値が薄まって、あなたのお財布の中にあるお金の価値は減ってしまうのです。

通貨を刷って、政府の予算を作るということ

通貨を刷って、政府の予算だけに割り当てることを考えてみましょう。

政府がタダで通貨を刷って、これを公務員の給料や、資材の調達に使うわけです。政府が新しく刷った通貨は、やがて市中を出回り始めます。

政府から給料を受け取った公務員が市中のモノやサービスを買うのです。そうすれば、徴税をしなくても政府の財政をまかなうことが出来そうです。

実際に、そうすることで政府の財政をまかなうことができてしまいます。

しかし、これは恐ろしいことです。政府が紙幣を刷ることで、人々が持っているお金の価値は知らない間に薄まっています。紙幣を印刷できる政府は私たちの財布に手を伸ばさなくても、私たちの財産を奪い取ることができてしまうのです。

あるいは、こう言う事も出来ます。政府がタダで刷った紙切れが、市中で働いている人々の労働力と交換されてしまうということは、人々は知らない間にタダ働きをさせられてしまうということなのです。

インフレ税

国家が特定の通貨を使うように強制しているとき(通貨通用力)、その通貨を国家が発行して価値を希釈し、それを政府の支出として使うことで、結果的に国民の財産や労働力を奪い取ることができます。

通貨の希釈によって国家が人々から財産を吸い取るとき、それをインフレ税と呼びます。


捕捉1:お金持ちより貧しい人が打撃を受ける

インフレ税は資産のもたたない人には関係ないと考える人も少なくありません、しかし、これはありがちな勘違いです。インフレ税はお金持ちではなく、生産力を自ら所有していない人に襲い掛かります。

最も深刻な打撃を受けるのは、日本円建ての雇用契約に依存しているサラリーマン、とくに政府から直接雇用されている公務員や、政府の補助金に依存している作業に従事している人たちでしょう。

彼らは、円建ての契約しか持っていないので、インフレが進むほど実質的な賃金が減少してしまいます。インフレの中で給料は増えていくでしょうが、それより先に物価が上昇していくことを経験するのです。

インフレ税は、もっとも逃避しづらい人から、より多くの財産を奪い取ります。資産をたくさん持っている人は、金、外貨、株式、生産設備などに換えることで財産を逃避させているのが普通です。財産や信用を持っている人ほど、より逃避しやすい資産に換えることができるのです。

人はパンのみにて生くるにあらず

捕捉2:政府から遠い人ほど成果を奪われる

インフレ税は政府に近い人ほど影響が少なく、政府から遠い人ほど大きな影響を受けることになるのです。

政府はタダで紙切れを印刷し、それを政府から直接受注する企業や、公務員への支払いに充てます。

その紙幣は、市中のモノやサービスと交換されます。やがてこの通貨が世の中に行きわたると、人々は貨幣の価値が薄まっていることに気づきます。

政府に近い側の人ほど、インフレの影響を受ける前に、通貨を商品と交換することになり、より政府から遠くで通貨を受け取った人ほど、通貨の価値が物価に織り込まれてからお金を受け取ることになります。

だから、政府主導のインフレ局面では、権力の思惑通りに動いた方が方が得になってしまいます。政府が国債や紙幣を発行して公的事業を行う国では、必然的に縁故資本主義が発達します。

縁故資本主義における窮屈な競争

 

 

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