ガラパゴス化と家畜化

実際、役所から仕事をもらうのも、決して楽ちんではない。

役所から仕事をもらうための熾烈な競争があるわけだ。ただし、その競争は消費者に対する競争ではない。だから、役所の方針が変わったら、いらないものになってしまう。予算の打ち切りとともに破綻する事業者は後を絶たない。この、役所に適合するための競争、それによって起こる歪んだ進化は、ガラパゴス化と揶揄されたものに他ならない。役所から良い条件で仕事をもらっている事業者、いわゆる利権は腐敗する。

生物史でとりあげられるガラパゴス諸島で起きた特異な進化は、閉鎖環境における自然淘汰の結果だ。だが、役所に適合するための進化は金魚やペットの犬猫の選別淘汰のような不自然なものである。だから、家畜化といったほうが正しい。家畜化した事業者は市場で自力で生き残ることができなくい水準まで生産性が低下する。限られた資源を、役所の条件に合わせるために食いつぶしてしまうからだ。役所から仕事をもらうための熾烈な競争は、市場での評価ではなく、予算獲得の建前や、それを押し通す助けになる縁故を作り出した者が勝ち残る。

疲弊した家畜は、より良い製品やサービスを作ることによってではなく、許されるギリギリまで建前を肥大させることによって生き残ろうとする。生き残るための競争が不正を作り出すのは、その競争が消費者を獲得するための競争ではなく、役人に認められるための競争だからである。今の日本は、納税者のカネを手に入れるための紙切れを書く競争だらけだ。大企業も中小企業も、保育園も大学も、みんな一緒である。役人に選ばれる競争ではなく、市場に選ばれる自由競争でなければ、意味がない。

腐敗した社会全体が無意味な競争に縛られ、ただすり減っていく。それは、ガラパゴスだからではなく、家畜だからである。

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